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隣の真琴を見ると、すでに泣いていた。
真琴の手を握り締めると、「おいおい、見せ付けてくれるじゃんかよ」と雅之兄貴がからかうように指摘した。
「ほら、早く上がって上がって! 遥も優も待ってるわよ」
お袋が話している間に、玄関から優が飛び出して来た。
「真琴ー、会いたかったぜ」
迷わず助手席のドアを開け、真琴に飛び付く。
「優君…久し振りだね」
「ほら、早く早く~」
優に手を引かれて、真琴が先に家の中へ連行されて行く。
その様子を、上の兄貴達が困惑顔で見ていた。
「久し振りだな」
長兄の自宅は都心にある為、今日は泊まりになってしまう。
「雅弘兄さん、わざわざすみません」
「なーに。可愛い弟の大事な人を、この目で見ないでどうするよ」
その傍らで、次男の雅俊兄さんが真琴の後ろ姿を見送りながらポツリと呟く。
「……何だか…違和感ないなー……何でだろな?」
真琴に、どう向き合ってくれるか心配していたが、拒絶されるという事態は避けられそうで安心した。
リビングのソファーに、皆が顔をそろえて…真琴を見るから、真琴の顔がみるみる真っ赤になっていく。
その姿が相変わらず可愛い……って…おい、兄貴達…何で揃いも揃って顔赤らめてんだよ…
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