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ボクは頭が混乱していた。
「だって大槻さんが…別れろって…!?」
「?…そうだよ。ママはそれでやっと別れるの決めたのさ」
「大槻さん…尊さんとママは、これからどうなるの?」
別れる割りに二人の間に強い絆を感じる。
なぜ別れるの?と思う位。
「ママと尊?何にも変わらないよ。当たり前だろ」
「えっと…?」
「お兄ちゃん…尊の事、何にも知らないの?」
呆れたような声。
本当だね。
何にも知らないんだ。
「うん」
優君は呆れて溜め息をついた。
「尊は、ママの双子の弟だよ」
「えっ…えぇーっ!?」
「事故でお父さんとお母さんが死んじゃって、大槻のじいちゃんの所の子供になったの」
優君があまりにも、何でもない事のように言うので、普通に聞いてしまったが、とんでもないこと…言わなかった?
「そ…そうなんだ…」
考えていた事と事実のズレを頭で理解していたが、まだ心がついて来ていなかった。
少し心の闇が晴れた気がした。
「お兄ちゃんさぁ~、もっと尊の事、ちゃんと知って欲しいな。あんな良い奴なかなかいないよ」
「うん」
「ちゃんと捕まえてないと、誰かに捕られちゃうかんな!」
「と…捕られるって…」
声が上ずった。
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