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優が居たことで、ぐっと距離が縮まったと実感していた。
優の希望で、お別れ会をする事になった。
佐倉に声を掛けに行こうとしたら、既に優が誘っていた。
こいつ…なかなか…あなどれないなぁ~
コテージで食事会を兼ねたお別れ会となった。
引っ越しの荷物を車に積み込み、夕方にはここをたつ。
その都合で早い時間から始める事になった。
野菜は、顔馴染みの農家から買っていたし、乳製品は、酪農家から買っている。
質の良い素材が揃う。
オレは張り切ってコース料理を作った。
暖炉の前にテーブルセットし、佐倉が来るのを待った。
十一月ともなると、ぐっと気温が下がり、雪が舞う日もあった。
この前降った雪が部分的に溶け残っているのを思い出した。
何となく気にかかり、外に迎えに出た。
彼はワインが好きなようで、ちょうどワインを手にこっちに来る所だった。
「あっ、尊さん…うわっ」
佐倉がオレに気が付いて声を掛けたが…凍り付いた所に足をとられた。
オレは走り出した。
ギリギリで間に合ったが、佐倉(とワイン)を抱き抱えたまま倒れ込んだ。
オレも滑ったのだ。
強か打った尻が痛いが、佐倉にケガがなくて何より。
余程驚いたのか、腕の中の佐倉は震えていた。
「大丈夫?」
「ごめ…ん」
手を貸して立たせると、バツが悪いのか、下を向いてしまって…
「佐倉さんが鈍臭いの忘れてた」
「鈍くさ…いって…」
ポカンとしていたけど、次の瞬間、プンプンしだした。
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