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「尊、マジで優に負けるわよ。五歳児でも立派なライバルね」
「ラ…イバルって…」
オレは遥と顔を見合わせて吹き出した。
「その調子よ」
遥はウインクして車に乗り込んだ。
優は佐倉と何やら話していたが、(メルアド交換しているのが見えた)そそくさと車に乗り込むと元気に手を振った。
「じゃあね。真琴メールちょうだいね!」
佐倉は笑顔で手を振っている。
「まったく…あいつ、何考えてんだか…」
オレのボヤキに佐倉が小さく笑った。
優が来てから、よく笑うようになったのが嬉しかった。
「ありがとう。優が世話になった」
「えっ」
いきなり真面目な話でなんだけど、きちんと礼をしたかったのだ。
「あいつ…強がってるけど、親の離婚で傷付いてない筈がないんだ。
最初しょげていたのに、佐倉さんの所に行くようになって元気になったみたいで…ありがとう」
「ボクは別に…」
「ありがとう」
佐倉は礼を言われて、照れ臭そうに俯いた。
そんな佐倉の頭を撫でたい。
抱き締めたい。
溢れてしまいそうな衝動に必死で耐えていた。
………………………………………
優君は別れ際、ボクに抱き付き囁いた。
「真琴! おれ秘密は守るよ。応援してるからな」
「ありがとう」
ボクは深刻に考えない事にした。相手は五歳児なのだ。
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