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優君のような子が相手だと、あんな風に抱き付かれても拒絶反応が出ないのが分かった。
それだけでも少しほっとした。
いくらなんでも、優君を突き飛ばさずに済んだのだから。
「メールちょうだいね!」
元気に手を振る姿に癒されていた。
「あいつ…何考えてんだか…」
尊さんの言葉に笑ってしまった。
優君に対する愛しさが滲んでる。
こう言う所が尊さんらしくて好きなんだ。
気持ちが暖かくなる。
「ありがとう。優が世話になった…」
「えっ?」
「あいつ…強がってるけど、親の離婚で傷付いてない筈がないんだ。
最初しょげていたのに、佐倉さんの所に行くようになって元気になったみたいで…ありがとう」
「ボクは別に…」
「ありがとう」
尊さんの和かな微笑みに、ボクの心臓が跳ね上がる。
どうしよう…ドキドキし過ぎて、まともに顔を見れない。
『あんな良い奴、なかなかいないよ。
ちゃんと捕まえていないと誰かに捕られちゃうかんな!』
優君の言葉が頭を過る。
彼等が来た時、ボクはこの世の終わりのような心境だった。
それが今は…小さな理解者が出来た。
優君が来て、ボクも元気になった。
心が楽になったよ。
『好きだろ?』
あぁ、そうだね。
やっぱり好きだよ…大好き。
ボクは心のなかで呟いた。
もう冬なのに、心の中はポカポカだった。
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