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遥達が帰ってから、また二人きりの時間に戻った。
だけど佐倉の様子は大きく変わっていた。
この変化は優によるもの…だろう。
優と毎日、何やら楽しげにしているうちに、佐倉の中に何か変化があったのだ…と思う。
肩の力が抜けたような…リラックスしたような…
強張った表情がいくらか軟らかくなった。
まだ、ぎこちなさは残るが、自分からオレの方に近付いて声を掛けて来るようになった。
「おはよう」
凄く照れ臭そうな表情が、堪らなく愛しい。
この可愛さは罪だよ。
「おはよう」
オレも返事を返した。
一歩前進。
そんな日常が変わらず続くと思っていた。
十一月になったばかりのある日、天気予報は明日から連日の大雪。
あまり嬉しくない物だった。
オレがここへ越してきたのは、まだまだ寒い春先。
まともな真冬は今回が初めてだった。
大雪になると除雪車が来ない脇道は、通行止め状態になる。
冬の備えはそれなりに必要になる。
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