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病院を出ると、天気予報よりも早く雪が降りだしていた。
外の冷気に当たり、のぼせたようになっていた頭が冷静さを取り戻していった。
佐倉を車の助手席に座らせると、背中に外気の低さを感じ身震いした。
後部席から毛布を取り掛けてやる。
辛そうな顔にまた心臓が跳ねた。
何て悩ましい顔をするんだよ…
佐倉…本当に…勘弁してくれ。
オレの理性が悲鳴を上げていた。
早く家に着きたかったが、雪に車の視界を邪魔され、思ったよりも時間がかかった。
家に着く頃には早くも積もり初めていた。
オレは意を決して車をコテージの前に停めた。
助手席に回り佐倉を抱き上げ…
自分のコテージへと連れて行った。
「えっと…?」
オレを見返す
「今日から暫くは、オレのとこにいてもらうから」
佐倉は何か言おうとしたが言葉が出て来ないのか、口をパクパクさせていた。
「まだ熱があるし、もっと上がる可能性があるんだ。
それに、調子が悪い佐倉を一人にして置けない。
夜も気になって眠れないだろ」
「大丈夫なのに」
弱々しい佐倉の声。
「そのセリフは本当に元気になった時に言うように!」
佐倉の言葉を撥ね付けた。
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