件名:殺してみませんか

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 あなたがもしも警察に怯え、初めての「殺人」に引け目を感じているのなら――。  僕は遺書を手に、殺されることを受け入れましょう。  高いところから突き落とすなんて簡単でいいでしょうか。  あなたは力を込めて僕の体を押すだけで、僕の命を奪うことができるのです。  この方法は容易ながら、人はあっけなく死んでしまうということが実感できます。  手のひらに残る、人の重さ。温かさ。そして、殺したという事実。  時間が経つにつれて、あなたの中でそれがじわじわと滲み出してくるでしょう。  コンクリートに打ち付けられた僕の体は、原型を残していない。  知っていますか? 高いところから落ちた人間は、映画のように綺麗ではないのです。  ――細かい描写はやめておきましょうか。見てからのお楽しみということにしておきます。  それを見ることによって、あなたがどう感じるかは分かりません。 手を汚すことなく――比喩的な意味ではなく、現実での意味ですが――僕の体を一瞬にして肉の塊にしてしまうのですから、少なからず衝撃はあるでしょう。  それを見る見ないはあなた自身にお任せします。  僕は遺書を持っています。すぐに自殺と断定されるでしょう。  あなたは警察に怯えることなく、殺しを堪能できるということです。  自殺に見せかけてほしいというならば、他にも方法はあります。  それはあなたの望みを聞いてからお教えしましょう。  もっと「殺している」と実感したいというならば、自らの手で殺してみてはどうでしょう。  ナイフで刺す、首を絞める――。  他にもありますが、どれも人の命が尽きていく状況を目の当たりにできます。
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