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あれは、とても暑い夏の日だった。
私はいつものように、学校へと向かって歩いていた。
「暑いぃ~…。天気予報でも、気温が36度って言ってたしなぁ~…。」
私、鈴嶺麻琴は暑さのあまり、口に出してしまった。
でも、もうすぐで夏休み、学校に行かなくていいのは嬉しいが、クラスの友達と会えなくなると…。
そう考えると、胸が痛んだ。
「あっ、麻琴!おはよ~!」
「沙羅!おはよっ!」
この子は如月沙羅。私の親友。
過去に、男性にトラウマがあるらしい…。
でも私と一緒だと平気みたい。
「教室、行こっ!」
「うんっ!」
私と沙羅が教室で話していると、勢いよくドアが開いたとおもうと、いきなり大きな声がクラスに響いた。
「おはよー!皆!!」
今入っていたのは、クラスの人気者の橘 直人。まぁ、私はうるさい奴としか思わないんだけど…。
「よっ、麻琴!」
直人は私達の前に居た。私がボーッとしてる間にこっちに来たんだろう。
「よ、よぅ…」
「沙羅ちゃんも、おはよっ!」
「おっ、おはようございますっ。」
「でさー、麻琴。元気ないじゃん?何かあったらさ。俺に言えよ?」
「だっ、誰があんたなんかに言うかよっ!お前は一時間目の準備でもしてろ。」
「へいへい…。わかりましたよ…。」
直人は、麻琴の言葉がきつかったせいだろうか、少し元気無さそうにして自分の席につく。
「でもさー、麻琴と橘くんって、仲良いよね。」
「ど、どこがっ?」
「橘くんって麻琴以外、呼び捨てで呼ばないじゃない?」
「あ、まぁ、言われてみれば…」
沙羅に言われるまで気付かなかったけど、何でなんだろう…?
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