恋の始まり

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「ねぇ、沙羅…。」 「うん…?」 「いつも思うんだけどさ…。」 「どうしたの?」 「何でこんなに階段が長いわけ!?」 そう…この学園の階段は、とても長い…。 ただ、長いだけならいいのだけれど…私たちの場合、これを4階まで上がらなければいけないのだ。 「…体育とかの後はキツいよね。」 「うん…。」 そんな事を言ってると、後ろの方で騒ぎながら走ってくる音が聞こえた。 「またか。」 「体育の後によく走れるよね。疲れないのかな…?」 「疲れるって言葉を知らないのよ、彼奴等は…。」 もうお気付きの方は居ると思いますが、今駆け上がってくる馬鹿共は直人たちです。 毎回、体育の後になると必ず、誰が早く教室に戻れるかを競っています。 …何故やるのか意味不明な点が私的にあるんだけど。 “どうせ…直人の方が早いんだから、競っても無理なのに。” などと思っていたら、いつの間にか私たちの後ろまで来ていた。 「どけどけぇ~。」 「うわっ…危ないなぁ…。」 「わりぃな2人共!」 と言うと、直人はダッシュで階段を駆け上がった。 “悪いと思うなら止めろ!” と言う言葉は聞かないだろうと思い、言わなかった。 そして、やっと教室に着いた。 「…長すぎだよ…階段…。」 「ねっ…エスカレータ欲しいかも…。」 「アハハ、分かるそれ。」 …と話していると端っこでワイワイと賑やかに騒いでいた。
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