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『ね,お父さんっ。窓の外を見て見て!』
『んん? そうだな,でも今運転中だからなぁ……』
『えー…』
わたしは膨れた。
そんなわたしの気持ちと裏腹に外では虹が輝いている。しかも,ただの虹じゃない。一つの空に二つも架かっているのだ。
この景色の綺麗さをお父さんにも分かってほしくて云ったのに……もういいもん。
――今思えば何て傲慢だったのだろう
お父さんは膨れっ面したわたしに苦笑して,どれどれと景色に目を移した。
『もう,あなたは本当に咲に弱いんだから…』
なんて。……云いながらもお母さんも笑顔。
親子三人で二つの虹を眺めた。
だから誰も気付かなかったのだ。
まさか,大型トラックが目の前に迫っているなんて。
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