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あれから半年が経って。
わたしは高校二年になった。
あの事故の時,わたしは腕をひどく怪我していて,治るのに何週間も要した。今では完全に治ったはずなのに思い出すたび,傷痕が疼いて痛い。
そして。
あれから目を覚ましたわたしは声が出なかった。
無惨な両親。
原型を止めていない車の残骸。
わたしの声を潰すには充分すぎる凄惨な場面だった。
両親を同時に失ったわたしを引き取ってくれたのは,お父さんの弟である速水 伊織<ハヤミ イオリ>さんだった。いつも可愛がってくれる,とても優しい人。
何でもいい人がいないとかで一生独身を貫くらしい。
その割には料理とか家事がすごく苦手で,どうやって生きてきたのかなって思うくらいだった。
伊織さんはわたしがいないと駄目だって云ってくれた。
わたしがほしかった言葉を与えてくれた。
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