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「……甘い」
千秋が紅茶から口を離し、最初に出た言葉だった
羽鳥も紅茶に口をつけた
「……なんだこれは」
紅茶は、果実の甘さの後に砂糖の使われたお菓子の様な甘さが舌に残り続け美味しいとは言い難い物だった
「優も飲んでみなよ」
「俺はいい」
「えーっ」
千秋は柳瀬にも飲むように言ったが拒む
いつもなら自分が作ったものを真っ先に呑むはずなのだが
(優、どうかしたのかな……)
千秋はおかしいと思ったが自分の前にケーキが置かれ今は食に専念することにした
千秋はフォークを手に取ろうとケーキの横にある銀色のフォークに手を伸ばした
だが
「あ、あれ…?」
右手が震える
手をグーに握ろうとしたが力も入らない
千秋の目の前の景色が歪み、身体も震え始めた
パリーン!!
食器の割れる音がした
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