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そんな二人を余所に、柳瀬は机に鞄を置き台所に入っていく
「俺が沸かすから千秋と羽鳥は座ってろ」
「はーい…」
千秋は羽鳥の背中を押し、羽鳥を椅子に座らせてから自分もすわる
(この二人、ホントに仲悪いんだよな…)
でもその理由は自分を好きだから
千秋は自分の何処が良いのか分からない
だけど、現に自分を好きだから二人は仲が悪いというわけで…
千秋はハァ、と溜め息をつく
その溜め息は誰の耳にも入らずどこかへ消えていった
「出来た」
「優、サンキュー♪」
台所から出てきた柳瀬は二つカップを持っていた
「あれ?優は飲まないの?」
「んー…喉渇いてないし」
柳瀬はそう言って羽鳥と千秋の前に置く
ふわりと甘い香りがする
アップルティーにしては甘い匂い。ダージリンティーにては色が違う
「…これはなんだ?」
羽鳥が今日初めて柳瀬に向かい口を開く
声音は何時もより数倍恐ろしい
「よく分からない」
「得体のしれない物を俺と吉野に飲ませるのか…」
羽鳥の質問を柳瀬は無視して千秋が台所から持ってきたケーキを皿にのせた
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