盗人と知者の相は同じ

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「おい、柳瀬!」 「トリ、落ち着けって!」 千秋は今にも柳瀬に向かって怒鳴りはじめそうな羽鳥を抑えつける 羽鳥は眉間にシワを寄せながらも黙った 「毒なんて入っているわけじゃないんだからさ!そうだろ?優………優?」 千秋の冗談混じりの問い掛けに柳瀬は黙ったままでいた その瞳は微かに揺れているような気がした 「優…?」 「…んなわけねーだろ。千秋、なんかの漫画でも読み過ぎたんじゃねーの?」 「そ、そうだよな!あははは…本当に入っているかと思ったじゃんか…」 柳瀬の軽い調子の話し方に千秋は少しホッとした 何故少しかと云うと、柳瀬の瞳がまだ揺れていたのだ 不安が拭えきれないまま千秋は紅茶に口を付けた
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