―第1章―記憶喪失

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昔なら既に学校を出て臣と帰ってるのに。 ボーっと下校している生徒を教室の窓から見る。 (うらやましい) じゃれつく様に肩を組んで歩く男子生徒を見ながら思う。 「まだ、残ってたのか」 入り口から知っている声がした。 振り向けば健先輩と利人先輩だった。 「そんな顔、すんなよ」 どうやら無意識に睨んでいたらしい。苦笑いを浮かべながら利人先輩が言ってきた。 今、会いたくない人達に会ってしまった。 いや、この感情は本来なら先輩達に向けるのは間違っている。 (わかってるけど) 気持ちがパンクしてしまいそう。 「何の用ですか?」 口にした言葉は、無機質で冷たいものだった。 .
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