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「でもラッキーじゃねぇか。外探すより旧校舎の中探した方がマシだし」
うん、確かに
「じゃあ中に入ろう」
私達は覚悟を決めて旧校舎の中に入った。
中は埃とカビ臭さで帰りたくなる。まだ朝だというのに薄暗いのが不気味だ。
「う……こんな所を探すの!」
「仕方ねぇよ」
全員が中に入ったとたん、急にドアが閉まった。
「う、嘘でしょ!」
「怖いよ、お姉ちゃん」
健太は私に抱きついた。
「だから言ったのに…」
統も震えているようだ。
にゃー
「た、たま!」
暗闇から…奥の方からたまの鳴き声が聞こえた。
「あの噂、本当に嘘ならいいんだけどな…」
「お前なぁ、自分から入っておいてーー…」
ガシャン
「きゃあ」
「な、何だ今の音」
「落ちつけ、絢乃と煉!」
「あのう~…」
「きゃあ」
恐る恐る声がした方向へ振り返ると…少女が立っていた。
「あっ、ごめんなさい!」
「えっ、こちらこそ。」
何故か顔を赤くして煉君が答えた。
「絢乃、大丈夫か」
心配そうに統が私に聞く。
「う、うん」
「ん?女の人…」
私達以外にも人が居たなんて驚いた。
「あの私、この旧校舎の中に忘れ物しちゃって…。」
「えっ、旧校舎に!?」
なんでこの旧校舎に…
『じゅ~う』
どこからか声が響きわたる。
「な、何?」
「お姉ちゃん、怖いよ~」
「い、今の声…」
「《指切り人形!?》」
口を揃えて言う。
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