プロローグ

1/2
265人が本棚に入れています
本棚に追加
/176ページ

プロローグ

昔、ある少女達が立ち入り禁止の旧校舎に興味本意で入ってしまった。 夜の学校は不気味で誰も立ち寄らない。 「瞳ちゃん、やっぱり帰ろうよぉ」 「もう、麻奈ってば怖がりなんだから」 そんな少女達の話し声が夜の校舎に響く。 「だって……旧校舎には『指切り人形』が出るんだよ」 麻奈と呼ばれた少女はブルブルと震えながら言った。 「麻奈、そんな噂を信じてるの?」 気の強そうな瞳と呼ばれた少女が言う。 「…噂……」 「そう、ただの噂!」 二人は何事も無かったかのようにまた歩き始めた。 『フフッ……』 突然と夜の校舎に不気味な声が響き渡る。 「ひ、瞳ちゃん!」 「だ、大丈夫だよ」 二人は抱き合って震えながら固まった。 『じゅ~う』 「ひ、瞳ちゃん!」 「逃げよう、麻奈」 突然始まったカウントダウンに二人は恐怖で足がすくむがそれでも走りつづけた。 『きゅ~う』 「あ、あれが『指切り人形』」 麻奈は走りながら、後ろを見て言った。 「麻奈、ちゃんと走って!」 瞳に怒られて、少し落ち込んだ。 『はぁ~ち』 逃げても逃げても声だけが聞こえる、それが二人の恐怖心を倍増させる。 「瞳ちゃん、逃げてもまだ声が聞こえるよ」 「そんな事、分かってる!早く出なくちゃ」 二人はやっとの思いで旧校舎の玄関へたどり着いた。 『なぁ~な』 「ひ、瞳ちゃん!早く出ようよ」 「分かってる!」 瞳は玄関のドアを開けようとしたが開かない。 「え?何で開かないのよ」 瞳の言葉に、今度は麻奈がドアを開けようとした。 「だ、ダメ……どうしよう」 『ろぉ~く』 「に、逃げるよ!」 瞳は麻奈の腕を引っ張って走り出した。 「瞳ちゃん、どこに逃げるの?」 「…屋上よ」 『ごぉ~お』 考えている時間は無かった、ただ今は『指切り人形』から逃げるだけなのだ。
/176ページ

最初のコメントを投稿しよう!