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「お前じゃねぇと駄目なんだ。」
「……え?」
グリードは、唇ではなくあたしの首もとに顔をうずめた。
「お前じゃねぇと駄目なんだよ。俺の…この渇きを、足りねーもんをうめるには……。」
グリードのこんな声初めて聞いた……。
「お前の顔がチラついて離れねぇ。お前が欲しくてたまらねぇ。」
そんな声で言わないで……
「この皇子の女なんてのははなっから分かってる。だけどな、それじゃ駄目なんだ。身体は一緒でも、俺の女じゃない。それじゃ駄目なんだ。」
暗闇に消え入りそうな声で………
「お前は、この強欲のグリード様の女じゃなきゃ駄目なんだよ……。」
「グリード………。」
あたしの首もとから顔を上げたグリードは、強気な言葉を発しているくせに
リンがするのとは違う、切なげな表情であたしを見つめた。
「俺を選べ。」
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