9人が本棚に入れています
本棚に追加
リンの顔が見れなくて、下を向く。
「おい、グリード。聞いてたカ?」
静まりかえった空間にリンの声が響いた。
中のグリードと会話しているんだろう。
『あぁ。これで杏奈は俺のも…』
「それでも、杏奈は渡さなイ。」
その言葉に無意識に顔が上がった。
「杏奈はこうも言ってだロ?俺への気持ちも変わってないっテ。」
リン………。
『てめぇリン、往生際が悪ぃーぜ。』
「ふン。誉め言葉にしか聞こえないナ!別に何とでも言ったらいイ。
それでも……、杏奈だけは譲れなイ。
俺だって、杏奈じゃなきゃ駄目なんだ!」
ゆっくりと開いた紅い瞳が、その瞳にしっかりと覚悟を宿す。
『……くくっ!ははははは!!さすが俺の相棒!一筋縄じゃあいかねーか!
だがな、俺だって譲れねぇんだよ。
なんたって、俺ァ強欲のグリード様だからな!欲しいもんは奪ってでも手に入れる!
……たとえリン、お前のモンでもな!!』
最初のコメントを投稿しよう!