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「シンの皇子様。」
いつの間にかあたしの目の前に来て、耳元でささやいた。
卑怯だ………。
そんな声、そんな切なそうな声………
いつもは出さないくせに。
期待しちゃうじゃない……。
顔を上げると、切なげに微笑むリンの顔。
「……ごめん、リン。あたし……」
「あーあーあー!!ちょっと待っテ!
……俺、また断られたら今度こそ泣いちゃうかモ。」
苦い顔で笑うリン。
ぎゅっ。
「……っ…!?」
突然抱き締められ、体がこわばる。
「……俺は、俺は杏奈の答えが知りたイ。いい答えじゃなくったっていいんダ。だけど、もしそうだったら、俺たぶん泣いちゃうかラ……。
俺は本気なんダ…、杏奈。分かっテ。」
もう駄目だ。
もう遊びとか嘘とか本気とか関係ない。
あたしは…………
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