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「…何しに来たんだよ…華音」
「ふっふっふ。正義の味方、三上 華音様が来たからには、覚悟して自首しなさい!!」
「…待て待て。僕は何も悪い事はしてないし、僕にとってのやすらぎのひとときを最後の最後でぶち壊した君こそ、悪者だと思う。」
「いつもどこに行ってるのかと思ったら、こんな所にいたんだ-。」
三上 華音(ミカミ カノン)は僕の幼なじみで、小さい頃からいつも一緒だ。
外見だけは大人に近付いたが、中身は子供のままで…
…相変わらず人の話を聞かない。
何故か野球のバットを右手に持ちサッカーボールを蹴っている。
階段はどうやって上がってきたのか非常に気になるが、そこは敢えて触れないようにしよう…。
「屋上って、景色綺麗だね-!!
さぁ、海斗!!夕日に向かって走るのだ-!!」
「……もう一度だけ聞く。何しに来たんだよ…」
「せっかく海斗のために野球部とサッカー部と陸上部とバスケ部とバレー部を抜け出して来てあげたのに…その言い方は酷いなぁ-。」
「………。」
普通では考えられない発言。
それでも華音にとっては当たり前だそうだ。
華音の運動神経は抜群にいい。
もはや人間の域を越えているのではないかと思う程。
だから、沢山の部活からスカウトがかかり、"特に断る理由がないから"…と5つもの部活を掛け持ちしている。
対して僕は…
…うん。
わざわざ言葉にしなくても良いじゃないか。
どうせ僕は鈍臭いですよ…
…少しくらいその運動神経を分けてほしいと思っているのは…不本意だけど本当だ…。
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