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「失礼します。星村です。」
自分の声が、やけにはっきりと聞こえた。
普段は様々な音が飛び交う、ここ音楽室も、放課後は静けさに包まれている。
「来てくれてありがとう。星村 海斗君。」
そう言って僕を待ち構えていたのは川村先生。
今度こそ逃がさないって目をしてる…。
「星村君、コンクールの件は考え直してくれたかな?」
「その件に関しては何度もお断りしているはずですが。」
「あなたほどの腕があれば、優勝間違いなしなのよ?こんな所で埋もれているのは勿体ないわ!!」
「言ったはずです。僕はもうピアノは弾かない。それどころか触れさえしない…と。」
「でも…あなたなら……」
「話はそれだけですか?…それなら失礼します。…この話は、もう二度しないで下さい。」
「待って!!話を…」
―ガラガラ―――バタン。
そんな話聞きたくもない。
僕の意志は変わらない…。
もう二度と弾きたくない。
ピアノなんて――…
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