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「ねえ幸生くん、今週末って何か予定ある?」
翌日登校すると、美好がいきなりそう言って来た。
「なんだ、藪から棒だな。
別に予定はないけど、何でだ?」
「うん、一緒にどこかに出かけたいなって思って。パーティーで使う道具とかも見たいし」
「ああ、なるほど。
よしわかった、それじゃあどこ行く?」
「そうだなあ、え~っとねえ……」
「おっと、そこでストップ」
美好が考えるような動作をしだすと、不意にヒデが現れてそれを制止する。
「おい、何だよヒデ」
「何だ、冷たいなあ。
スタッフと仲良く出来ない人間は、業界で成功しないぞ」
「ああ、演出の話か」
「そう、それと不注意なお嬢さんへの忠告もね」
「?」
「美好さん、デートの約束をするのもいいですが、こんな所では、耳聡い連中が当日について来ますよ?」
「な、何の事かしら?」
ものすごく似合わない敬語を使ってくるヒデに対し、美好は下手なごまかし方をしていた。
「ああ、さっきのはデートの誘いだったわけね。
でもそれだったら、普通にデートしようって言ってくれりゃいいのに」
「だ、だって!
まだそういうのは照れちゃうんだもん……」
美好は顔を赤らめて、うつむき加減でそう言ってくる。
(か、可愛い……)
その様子があまりにも可愛らしかったので、俺まで思わず照れて来てしまった。
「よーし、ロンリーボーイズ集合。この2人を破滅させる方法を考えるぞー」
「……ほんとにやるなよ」
「ははは、わかってるさ。
いくらコウたちが目を背けたくなる様なバカップルだと言ったって、そこまではしない」
「いや、その死んだ目がいまいち信用ならん。
まあそれは無視するとして。じゃあ美好、詳しい話は後でメールするって事で」
「うん、わかった。
あ、それから今日も練習だから、一緒に帰れないの」
「了解」
「はい、席に着いて。
HRを始めます」
ちょうど話の終わったタイミングで、先生が教室に入って来た。
……
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