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「……で、あるからして、くれぐれも最後の最後に気を抜く事の無いように、残りの学生生活に望んで頂きたい。以上」
「……どうして朝礼の話って、こんなに長いんだ?」
俺は眠気を堪えながら、先生に注意されない様に前を向いて、話を聞いている振りをする。
「でも、そんなのどこ行っても変わらないだろうからな。学生が皆通る試練だと思っていればいいさ」
隣から、友人の真成 英雄(シンジョウ ヒデオ)がそう言ってくる。
「ま、そっか」
「続きまして、生徒指導部より話があります」
「……はあ」
俺はため息をつき、話に耳を傾ける振りを続けるのだった。
……
「あ~、疲れた」
教室に帰ってきて間もなく、俺は机に突っ伏した。
「毎度毎度同じ様な話をして、よくもまあ飽きないもんだね」
「そう言うなよ、向こうだって考える所があってああいう話をしてるんだからさ」
「って言ってもなあ……」
「ふふ、幸生くんは相変わらずだね」
そんな話をしていると、学園のアイドルである花原 美好(カハラ ミズキ)が声をかけて来る。
「相変わらずって、そんな風に言う程会って無くないだろう?」
「まあ、それはそうだけどね」
「けっ、お2人とも相変わらずの様で」
2人で話していると、ヒデがそう野次を飛ばしてくる。
「しっかし、いまだに信じられないよな~。
学園のアイドル花原 美好が、コウみたいな普通の男と付き合ってるなんて」
「何か引っかかる言い方だな、それ」
まあそれは置いといて。ヒデの言う通り、俺と美好は少し前から恋愛関係にある。
ある事件がきっかけなのだが、おかげで現在は学校中が知る有名カップルだ。
「真成くん、その言い方は無いと思うな。
あなたが知らないだけで、幸生くんはとってもいい人なんだから」
「はいはい、のろけはもうお腹いっぱいですよ~」
ヒデが自分の腹をさする動作をして、美好を茶化す。
「ま、後は若い者同士って事で。
俺は同じく寂しい思いをしている同志と、呪いの言葉でも呟いてますよ」
皮肉めいた口調でそう言うと、ヒデは男友達の方へと去って行った。
「……あっちは本当に相変わらずみたいね」
「まあいいじゃないか。
そのおかげで、こうして2人で話せるんだからさ」
「ふふ、それもそうね」
美好はそう応えると微笑みを浮かべ、話を続ける。
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