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「おい夢、お前は卒業パーティーの出し物何にするか、決まってるのか?」
「えっ?
あ、う、うん、友達に誘われたから……」
「そうか、なら良かった」
後半の方は声が消え入りそうだったので良く聞き取れなかったが、まあ悪い事は言ってないだろう。
こいつは天唐 夢(アマカラ ユメ)。家が隣同士の、要するに俺の幼馴染で、少し内気な性格故に、こういうイベントに積極的に参加できないものと思っていたから、ちょっとほっとした。
「ま、それじゃあ頑張れよ」
「あ、うん、幸生も……」
俺は再び美好のところに戻り、HRが始まるまで話を続けた。
……
「……はい、それじゃあ今日はここまで、号令をかけて」
「起立、礼」
学級委員の号令で、3学期初日の授業が終わった。
「幸生くん」
そして早速、美好が話しかけて来る。
「一緒に帰ろうよ。
パーティーの具体的な打ち合わせもしたいし」
「ああ、そうだな」
俺はそう返事をして帰り支度を整えると、いつも通り美好と一緒に教室を出た。
……
「ねえ、さっき天唐さんと何話してたの?」
「え?別に大した話じゃないよ。
あいつ内気でイベント事とか苦手だからさ、ちゃんと参加してるか気になって」
「そうなんだ……」
「どうした?そんな顔して。
もしかして、俺が浮気してるとでも思ったのか?」
「うっ、だ、だって……。
天唐さん可愛いし」
「何言ってんだよ。
美好の方が何倍も可愛いって。俺が保障する」
俺はそう言って、美好の頭をぽんぽんと撫でる。
「えへへ、幸生くんがそう言ってくれると嬉しいな」
すると、美好は顔をくしゃくしゃにして喜んでくれる。俺はこの顔が一番好きだ。
「でも実際、天唐さん人気あるみたいだよ?
さっきもラブレター読んでるの見たし、告白した男子も結構いるくらいだもん」
「ま、そう言われればそうなのかもな。
でも夢は関係ない、今の俺には美好しかいないって」
「ありがとう、幸生くん」
「それに、あいつだってガキじゃないんだ。俺がそういうのを気にする理由はどこにもない」
「うん、それもそうだよね」
「さて、この話は打ち切りにして。出し物の話をしようぜ」
俺はそう言って今の話題を中断させると、本格的に打ち合わせに入る。
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