第1章:終わりの始まり

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「ところで、本当にこの進路でいいの? せっかく一流企業への就職が多い学校に進学したのに」 「いいんだよ、興味の無い仕事でただ金を稼ぐ人生なんて無意味だから。 自分の好きな仕事に就くのが一番さ」 「でも、あまり安定している仕事じゃないじゃない」 「大丈夫だって。 人間万事塞翁が馬、何かあったって何とかなるさ」 「……まあ、あんたの人生だから、あんまり口出しは出来ないけど」 母さんはそう言って、一緒に夕飯を食べ始める。 「ところで、最近の夢ちゃんについて、何か変わった事はない?」 「夢?」 「夢ちゃんのお母さんが、最近夢ちゃんの元気が無いって言っててね」 「そうなんだ。でもあいつ内気だし、元気があるかどうかわかんない奴だからなあ」 「何か、去年の11月辺りから少し元気が無かったらしくて。 その時はあんまり気にしてなかったらしいんだけど、最近になってますます元気が無くなってきたって言って、凄く心配してるのよ」 「ふーん。 ま、何かあったら伝えるよ」 「うん、そうしてちょうだい」 その後すぐ食事が終わり、俺は食器を片付けた後自室に戻った。 …… 「さて、早速曲作りに取り組むとするか」 とは言っても、俺は作詞経験があるわけじゃないので、知ってる曲の歌詞を片っ端から見て行く。 「で、なおかつ美好のイメージに合った曲にしないと。う~ん、難しいな……」 うんうんうなりながら、俺は曲を作り続ける。 …… 「よし、こんなもんか」 時計の針がとっくに12時を過ぎた頃、俺は何とか作詞を終える事ができた。 「さて、もうそろそろ寝ないと」 疲れで眠くなった目を擦りながら、俺は布団に入る。 「……夢の元気がない、ね」 布団の中で、俺はさっき母さんにされた話について考える。 「まあいいか、俺がそこまで干渉する事でもない」 それに向こうだって、あんまりまとわりつかれたら迷惑だろう。元気なんてそのうち出てくるだろうし、最悪、いい男が夢の前に現れて元気付けてくれるに違いない。 「あれ?でも確か、夢の元気が無くなり始めたのって……」 それが気にはなったが、その時にはもう睡魔が限界に来ていたのだった。 ……
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