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「おはよ~、幸生くん」
「ああ、おはよう……」
「うわっ、目のくま凄いよ?
もしかして徹夜した?」
「まあ、ちょっとな」
「ごめんね、私のせいで幸生くんに苦労かけて」
「何言ってんだよ、むしろ楽しませてもらってるって。
それに彼女のために何かするのは、彼氏として当然だろう?」
「うん……。ありがとう、幸生くん」
「あー、何かここだけ妙に暑いなあ~?」
そんな会話を交わしていると、ヒデが手で自分を扇ぐ動作をしながら近づいて来た。
「全く、こんなところでいちゃつきやがって。ロンリーボーイズはそんなふしだらな奴を許しはしないぞ!」
「はいはい。
で、ヒデは何か考えてきたのか?」
「いや。
良く考えたら演出なんて、具体的なプログラムがわからなければ決めようがないと言う事に気づいた」
「あ、そう言われればそうだな。美好、その辺はどうなってるんだ?」
「えっとね、まず既存の曲を3曲歌って、最後に幸生くん作詞の曲を歌おうと思ってるんだ。
で、曲と曲の間に少しトークとかを挟んだりするつもり」
「そうなんだ。
あ、とりあえず作詞は終わったから」
「本当?見せて見せて!」
「はい」
俺は昨日徹夜して考えた歌詞を、美好に披露する。
「……これ、凄くいい歌詞だね」
「そうか?まあ俺なりに頑張ったつもりだけど」
「いや、これはお世辞抜きでいいと思うぜ。特にこの辺なんか」
ヒデがそう言って、歌詞の一部分を指差す。
「『最初の一歩を踏み出せば
鉛の足が羽に変わる
自分の気持ちと言う風で
歩みはさらに加速する』か。
うん、私もここ好きだよ」
「そうか。そう言ってもらえると、やった甲斐があったよ」
2人の賞賛で、俺は少し気分を良くする。
「ねえねえ、せっかくだから他の人にも見てもらおうよ」
「そうか?それじゃあ……。
おーい夢、ちょっと来てくれー!」
俺の呼びかけに対し、夢は少し驚いたような様子でやって来る。
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