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「?変な奴。
まあいいや、さっさといこうぜ」
「うん」
俺の後に夢がついてくるような感じで、俺たちは帰路についた。
……
「……」
「……」
特に話題がある訳でもなかったので、俺たちは言葉を交わすことなく歩き続ける。
(と言うより、わざわざ誘う位なんだから、夢の方に何か言いたい事があるんじゃないのか?)
そう思って夢が話を切り出すのを待っていたのだが、一向にその気配が無いので、結局俺から尋ねてみる事にする。
「おい、夢」
「ひゃっ!」
俺が声をかけると、夢は飛び上がるようにして驚く。
「何だ、どうしたんだ?」
「な、何でもない、何でもないの!」
俺の問いかけに対し、夢はいつもの消え入りそうな口調からは考えられない位の声量で否定してくる。
「そうか、ならいいが。
ところでお前、俺に何か言いたい事があるんじゃないのか?」
「えっ?
あっ、えっと、そのね……」
いつものように口をもごもごさせてためらっているが、俺はもう慣れっこだ。夢が話しだすのを気長に待つ。
「……さっきの歌詞だけど、曲はもうついてるのかな?」
「いや、まだだぞ。
とりあえずアップテンポにしようとは思ってるけど」
「そう……。だったらその作曲、私にやらせてくれないかな?」
「夢が?
あ、でも、それ名案かもな」
音楽の成績も、普通の科目と一緒で常に5を取っているような奴だ。それにセンスも中々ある。
「けど、自分たちの出し物もあるのに大丈夫なのか?」
「うん、そこは問題ないよ」
「そうか、それじゃあ早速美好に提案してみよう。
……なるほど、美好も是非よろしく頼むって」
メールを打ってすぐに帰ってきたのは、夢の提案を快諾する内容だった。
「良かった……。
それじゃあ、今日から早速取り組むから」
「ああ、よろしく頼むぞ」
夢の作曲が決定して間もなく、俺たちは家の前に着いた。
「おし、じゃあな。
作曲の件、期待してるぞ」
「うん、それじゃあね」
俺は夢に向かって軽く手を上げてから、家の中に入った。
「……期待してるぞ、か。
うん、頑張らなくちゃ」
……
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