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「ここでいいか?」
「はい。」
…それからしばらく歩いたところに呉服屋があった。
「…すごい…昔はこんな風に売っていたんだ…」
「いらっしゃいま…あら!土方はんやないか!」
「どうも。」
店の奥から女の人が。
この店の店主さんかな?
土方さんを知っているということは、土方さんは常連さんなのかな?
「で、今日はどのような件で?」
「あぁ。そいつに服を何着か買ってやりたいんだが…」
と言うと、土方さんは私を指差した。
「あらまぁ!可愛らしいお嬢さんだこと!
…なんですか土方はん。こんな可愛い娘さんで遊んでいらっしゃるの?
しかも土方はんと年齢がかけ離れてるように見えるんやけど…
いややわぁ…(笑)いくら顔がいいからって、いい加減にしなさんと(笑)」
遊ぶ?…まぁ年齢はかけ離れてるけど…てか女将さん、なんでそんな冷たい目で土方さんを見てるんだろうか…
「ばっ…違いますよ!;」
いきなり焦りだす土方さん。
「そいつは近藤さんの知り合いで…」
「あら。そうやったの!それは失礼しました(笑)」
…土方さん、なんで嘘を?
よくわからないなぁ…
「とりあえず、そいつに似合いそうな服を見立ててほしい。」
「わかりました。…えーっと…」
「梓だ。高宮梓。」
「梓はん、ちょっと待っててね!いいもん持ってくるから!」
そういうと女将さんは店の奥に戻っていった。
「土方さん。」
「なんだ?」
「なんで嘘を?」
「あぁ。…一応、新撰組は女人禁制だからな。女中がいることを知らせたくなかった。」
「それでですか…」
「嫌…だったか?」
「いえ。大丈夫です(笑)」
「そうか。なら、いいんだ。」
…そういうことか。
本当に土方さんは新撰組第一だなぁ…
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