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しばらくすると女将さんが出てきた。
「梓はん可愛いから時間かけてしもうた!すみませんねぇ…」
「あ。大丈夫です。女将さん。」
「女将さん!?…やめてぇなぁ。そないな親しみのない呼び方。
私はハツいうねん。よろしゅうたのんます。」
「ハツさん…よろしくお願いします。」
親しみやすそうな方だなぁ…本当に。
「梓はん、どれがいい?
…私的には桃色や薄い赤とかが似合いそうやけど…」
…桃色や赤かぁ…
可愛いなぁ…!
「いや…薄い青じゃねぇか?」
え?土方さん?
「土方はん、どうせなら紫でもいいと思いませんか?」
「紫はなぁ…少し大人っぽく見えてしまうし…」
「そうねぇ…あ。なら、薄い紫…いや白と薄い紫はどうでしょうか?」
「そうだなぁ…。…お。この色はどうだ?」
「そうですねぇ!」
あのぉ…
…二人とも…私を無視してませんか…?
「………」
…
私は盛り上がっている二人を無視して、店内を見渡した。
…すごいなぁ…本当に綺麗…
…
あ…。
「ハツさん…」
「なんでしょう?あ。すいません。土方はんと二人だけで悩んでしまい…」
「いえ。…それより…あの黒い着物を見せていただけませんか?」
私は、とてつもなく惹かれた着物を指した。
「は…はい…」
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