第四章

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「これですよね?」 「…ありがとうございます。」 …綺麗な色… …真っ黒な生地ではあるんだけど、そこに大きな白い花が描いてある。あと、金色の線が少しある。 ただそれだけなのに、凄く惹かれる。 なんでかな…? 「こりゃぁ、綺麗な花だな。」 花… …そうか。この花だ。 ほんの少ししか描いてないけど、ひとつひとつが大きいから存在感が強くて… 黒い生地に真っ白な花だから目立つし… 凛としていて、強い花。 それが私を強く惹かれさせるのかも… …でも…高そう… 「ハツさん、これいくらですか?」 「お前、これ気に入ったのか?」 「はい…でも高そうだから…」 「はぁぁぁぁっ…」 ん?ため息? 「はい?」 「お前、俺言ったよな?」 「?」 「金の心配すんなって。」 「…あぁ…たぶん…」 「たぶん、じゃねぇよ… …兎に角!それが気に入ったのか?」 「はい。気に入ってはいます!」 「じゃ、これを。」 「え?」 「まいど!他には?」 「あとは…そうだな。…その白と紫のも。」 「ちょっ!土方さん!」 「大丈夫だから!気にするな! 新撰組の副長様が女物の服を買えないほど貧乏だ、って本当にいいたいのか?」 「っ!?そんなことないです!本当にっ!」 「じゃぁ買わせろ。…な?」 …う…有無を言わせない満面の笑み…断れない! 「…はい…」 「じゃ勘定を。」 「はい。では。 あ。土方はん。そんな強い顔してると、怖がられますよ?」 「え?何を…」 …?本当にハツさん何を言ってるの? 「有無を言わせない満面の笑み、とか、あまりしないほうがいいですよー(笑) いい顔してはるんやから。」 「はぁ!?/////」 …あれ?土方さんが照れてる… …可愛いなぁ(笑)
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