第四章

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「土方さん!」 「っ!?…なんだよ…」 「あの…抹茶…」 「抹茶?…あぁ…これか? …俺の一番好きな甘味だよ。」 …私、実は…抹茶が大好物だったりする… 「あの…」 …どうしよう… "欲しい"って言ったらくれるかな…? 「あげねぇよ。」 「え?」 「言ったろ?これは俺の一番好きな甘味だって。」 「なんでわかったんですか!?」 「だから、お前わかりやすいんだよ。顔に書いてある。」 「…ならください。」 「だから、嫌だ。」 「ケチ!少しくらいいいじゃない!」 「ケチだと!?ふざけんな!奢ってやってるんだから感謝しろ!」 「うっ…」 …そうでした… 「んだよ(笑)言い返せねぇか(笑)」 ムカッ… でも…今日はいろいろ買ってもらってるし… しかも甘味まで食べさせてもらってる。 …言い返せない… 「じゃ頂きます。」 あ。 「うめぇっ!」 …美味しそうに食べやがって… 仕方ない。私も食べよう。 「いただきます…」 …ぁ…おいしい… …でも土方さんの前で言うのは敗北感がある… 「梓さん♪」 「はい?」 「これ、あげます!」 「え?」 いつの間にか私の隣にいた沖田さんが、私に差し出したものは… 「僕、よもぎ団子も頼んじゃって…そしたら、普通のわらび餅が食べたくなったので…交換しませんか?」 抹茶わらび餅だった。 「で…でも…少し食べちゃいましたし…」 「ここのお団子、一粒が大きくて、梓さんのわらび餅ぐらいの量がいいなぁ、と思ったので。」 「あ…でもお金…」 「大丈夫。僕が払いますから。」 「沖田さん…」 「さっ。どうぞ。」 そういえと、沖田さんは私の目の前のわらび餅と、抹茶わらび餅を交換した。 …素直に受け取っちゃおう… 「すみません…ありがとうございます。」 「いえいえ。」 「総司、余計なことしてんじゃねぇよ。」 「うるさいなぁ…。僕の好意なんだから、黙ってください。」 ------ 食べ終わってから私たちは甘味処をでて、今度こそ屯所に帰った。 確かにお団子の一粒が大きかった。 でも沖田さんが10皿以上食べていて、なおかつ、私のわらび餅も食べていたから、驚いたな。
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