1章.平穏が終わるとき

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「こら!いい加減起きなさーい!」 穏やかな朝の中、一際大きく響く声。剥ぎ取られる布団。 心地良い温かさを奪われ、俺は「うー…」と唸り声を上げた。勿論、起きるつもりはない。抵抗の意味も兼ねて、俺は枕にしがみつく。 「いつまで寝てんの!大地はもう学校行ったよ!?」 声は止む気配がない。当然だ。こいつのしつこさというか、生真面目さは相当なモンだからだ。今まで、勝てた試しがない。 しかし、俺も男だ。今日こそは、こいつに勝ってみせる! 「……そうやって起きないつもりなら、冷蔵庫のプリン、食べちゃうからね」 「おおおはようございます!」 負けた。
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