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厨房のおじさんは
「美味しく焼いてあげるよ」なんて言って快く引き受けてくれた。
翌朝の朝食
ニコニコしながら
おじさんが俺と健にだけデカイ干物を持ってきてくれた。
確かに脂がのっていて
旨そうだった。
「おー美味い、この干物。」
健が横で満足気な顔を浮かべていた。
「あっ、本当だ。美味い。」
「りおちゃんに感謝しなきゃね。」
「……。」
「翔平?」
「健が干物に言っといて。美味かったって。」
「別にいいけど。」
いつも
あーだこーだ言ってる俺が今さらアイツにお礼を言うなんて気が引ける。
「練習、何時からだっけ?」
「えーと9時30分から。」
「まだ練習まで結構時間あるな。」
「ジョギングにでも行くか?」
「だな。」
「おはよー。」
「おはよ、奈緒ちゃん、りおちゃん。」
「あれ?りおちゃんどうしたの?」
「あっ、この子朝は激しく低体温で低血圧だから、こんな顔してるの。」
「りおちゃん大丈夫?」
焦点があってないまま。
うん、うんと頷くだけで
なにも喋らなかった。
「そういえば、りおちゃんが買ってきてくれた干物、めっちゃ美味しかったよ。翔平も美味しいって言ってたよ。」
微妙に右の口元があがったしたり顔を俺に向けていた。
可愛くない女。
本当に可愛くないやつだ。
「健、俺、先に行くから。」
「えっ、あぁ。わかった。」
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