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「まずは食べなきゃ」
少女はそう呟いた。
窓から見える景色は夜明け前。
岬の先で少年が大きな旗を振っている。
赤い、赤い、真っ赤な旗。
風でその旗は広がり、旋回し、
少年は朝日と出航する船に歌を捧げる。
少女はまた呟く。
「あの子が落ちて死ねばいい。」
波がきらきら煌めいて、
カモメがゆるんだカーブを描く。
突風。
少年はよろけた。
運命。
赤い旗はぐるぐるまわりながら岬の下へ。
三文芝居のような結末。
「あぁつまらない」
少女はいった。
「思ったとおりになるなんて、なんてエスプリが効いてないのかしら?」
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