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『私を、殺して下さい』
大雨の中外に立たせておくわけにはいかないと、一応中に通し紅茶を渡す。
名前を聞いても住所を聞いても殺しての一点張り、何でこんな時間にこんなの相手してんだろ俺…。
『街で噂を聞きました、アナタはワーウルフだって。私を食べて下さい。』
真剣な目で訴えられても困る。
多分そのワーウルフってのは、狼…俺の生まれるずっと前に流行った歌謡曲の『男は狼』とかいうそんなニュアンスの話だったんじゃなかろうか…。
軽く頭痛、こいつマジで言ってんのかぁ?
『で、なんで殺してほしーの』
ぐったりと机に肘突いて、聞きたくない話を聞くことにした。
『そ…れは…私…』
クマをギュッと抱き締め俯く、多分それなりの理由はあるんだろう。
『ま、言いたくないならいーけど』
珈琲を啜り時計をみる。
もう6時前…天気が悪すぎて朝だって分からなかった。
『とりあえず、俺仕事だから』
出かける準備を始めると泣き始めた。
勘弁してくれっての…。
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