赤ずきん

4/6
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
『私を、殺して下さい』 大雨の中外に立たせておくわけにはいかないと、一応中に通し紅茶を渡す。 名前を聞いても住所を聞いても殺しての一点張り、何でこんな時間にこんなの相手してんだろ俺…。 『街で噂を聞きました、アナタはワーウルフだって。私を食べて下さい。』 真剣な目で訴えられても困る。 多分そのワーウルフってのは、狼…俺の生まれるずっと前に流行った歌謡曲の『男は狼』とかいうそんなニュアンスの話だったんじゃなかろうか…。 軽く頭痛、こいつマジで言ってんのかぁ? 『で、なんで殺してほしーの』 ぐったりと机に肘突いて、聞きたくない話を聞くことにした。 『そ…れは…私…』 クマをギュッと抱き締め俯く、多分それなりの理由はあるんだろう。 『ま、言いたくないならいーけど』 珈琲を啜り時計をみる。 もう6時前…天気が悪すぎて朝だって分からなかった。 『とりあえず、俺仕事だから』 出かける準備を始めると泣き始めた。 勘弁してくれっての…。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!