閉鎖病院

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それ以来、どうにもあの病院が気になる。 別段変わった事もないのだが、前を通りかかると中を覗いてしまう。 あえて変化を上げるとすれば…バリケード。 日に日に厳重頑丈になってゆく。 初めは一本のロープだった。 次は工事現場でよく見る鉄柵。 そして今は金網に進化している。 じわじわと威圧感の増していくバリケードを見、さっさと取り壊せば良いのにと変に思った。 今日もユウジと共に朝からずっと外を走り回っていたが、いい加減やる事もなくなってきた。 去年に比べ少し小さくなったビーチサンダルをぱっこんぱっこん鳴らしながら、ボク等はコンビニへアイスを買いに行った。 ふと、病院を見ると、鍵のかかっている筈の扉が少し開いている。 扉は押し開けるもので、手を離せば勝手に閉まるもの、開いているのは不自然である。 暫くぽけーっと見ていたが、気付くと横でユウジもそれを見ている。 顔を見合わせ、ボク等はニヤリと笑った。
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