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『ぁんだよ、全然フツーじゃん』
金網を乗り越えた後ユウジはどんどん奥へと入り込み、強気に…しかし小声で言った。
院内は夏の都会の昼間なのに静かで、夕方よりも暗い。
目が慣れるまでは迂闊に歩けない…と思っているのだが、ユウジはさくさく進んでいく。
足下には割れたビンや錆びた鋏が転がっていて、ビーチサンダル出歩くにはとても危険な状態。
全く…無茶するなぁと、よろよろ後をついていく。
『うわっ?!誰だよ!!』
ユウジの突然の叫び声で顔を上げると、同い年位の女の子が立っていた。
長い髪をツインテールに結び、白いワンピースを着た…正直、素直に可愛い子と言いたくなる子だ。
『アンタこそ何してるのよ』
目をまん丸にし、此方を警戒するように見る。
『その…ドアが開いてたから、さ』
しどろもどろにボクが答えると、彼女はいけなーいと言った。
どうやら扉はこの子が開けたようだ。
『で、アンタ達も探検にきたのね?ケイタ君』
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