そこにいるの

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「それじゃいくよー…こっくりさんこっくりさん…」 あれからさらに二十分、漸く始まったようだ。 おそらく彼女等は 狐狗狸 の意味すら知らないだろう、笑い声の混じる簡易式降霊術は、暫くは何も起こる事なく進んでいく。 「こないねー」 「じゃ、これ使ってみる?」 ミサキは、それを見る前から寒気を感じた。 実際に顔を上げてソレを見た時には、血の気が引いていくのを感じた ソレ自体は何の変哲もない…シンプルなペンダントトップである。 銅色の台座にオーバル型の瑪瑙のような赤い石、結構年代ものだろうがそれ程高値でもなさそうだ。 「それじゃ、置くよ」 ミサキは逃げ出したかった。 コマ送りに見える彼女等の動作、ことんと小さな音を立て鳥居にソレが置かれた。 さぁっと空気が変わる。 目に痛い位の青空がふっと暗くなり、蒸し風呂だった部屋が寒くなった気がする。 否…確実に寒くなっている。 気の所為だ、気にしないで…。 ミサキは強く自分へ言い聞かせた。
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