そこにいるの

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ミサキは戦慄した。 遊びとはいえ、他人の死を望むなんて。 止めようと思い、席を立とうとした。 動かない 体が石膏で塗り固められたかのように、ぴくりとも動けない。 金縛りというものか…。 ふと視界の端に、薄汚い白が動いた。 眼球だけが動く、しっかりと視界にソレを納めてミサキは後悔した。 裾を真っ赤に染めたトレンチコート、長い髪はだらりと床につき、遠くからでも油ぎって不潔であるように思えた。 何よりその、真っ暗な眼孔に瞳が見あたらず、それでも真っ直ぐ此方を見ているのが分かる。 ミサキは目を離す事もできず、よたよたと四人に近づいていくソレを目で追った。 ソレは彼女等の顔を覗き込んだり、彼女等と同じく紙の上に手を置いたりし、とりわけ石に興味を持っているようだった。 人工物である十円玉に対し、自然のものを加工した依代、しかし正しい作法や浄化されたものを使っているわけではないため、無差別に呼び出してしまう。 そして、その、無差別に呼ばれたものが、ソレなのか…。 儀式はまだ続いている。 「は・ら・へ…つ・た…腹減ったぁ?」 「へへーなんか食べに行かない?」 笑いが上がり、終了の儀もそこそこに彼女等は出ていった。ソレを残して。
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