3人が本棚に入れています
本棚に追加
朝になり、目を覚ましたミサキは、恐る恐るドア付近を確認した。
ヤツは姿を見せず、しかし居る事には間違いない。
床には血溜まりなどなく、勿論肉片もない。
しかしあの音や色、臭いは幻覚とは思えなかった。
結局何も分からず仕舞で、いつも通りに憑き纏われる一日となった。
それからは毎夜、ヤツはミサキの目の前で『食事』をする。
毎度同じように背を向け食っているのだが、食われている物は違うらしい。
距離は相変わらず縮まる一方で、今ではもう直ぐ隣にいるのだ。
ミサキは我慢の限界とばかりに、布団の中で思いつく限りの罵倒をソレにぶつけていたが、ふと冷静に考える。
呼び出したのは奴らじゃない
アタシが付きまとわれる責任なんてない
だからきっとこれは
全て幻覚
ふわっと体が軽くなる。
臭いも音も消え、何もかもが夢だったかのように静かになった。
拍子抜けしたミサキは、自然と安堵の笑いがこみ上げてきた。
さぁ、外へ出ようと思った時、
「だって、アンタが一番に気づいたじゃない」
布団の隙間からヤツが覗いていた。
最初のコメントを投稿しよう!