そこにいるの

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朝になり、目を覚ましたミサキは、恐る恐るドア付近を確認した。 ヤツは姿を見せず、しかし居る事には間違いない。 床には血溜まりなどなく、勿論肉片もない。 しかしあの音や色、臭いは幻覚とは思えなかった。 結局何も分からず仕舞で、いつも通りに憑き纏われる一日となった。 それからは毎夜、ヤツはミサキの目の前で『食事』をする。 毎度同じように背を向け食っているのだが、食われている物は違うらしい。 距離は相変わらず縮まる一方で、今ではもう直ぐ隣にいるのだ。 ミサキは我慢の限界とばかりに、布団の中で思いつく限りの罵倒をソレにぶつけていたが、ふと冷静に考える。 呼び出したのは奴らじゃない アタシが付きまとわれる責任なんてない だからきっとこれは 全て幻覚 ふわっと体が軽くなる。 臭いも音も消え、何もかもが夢だったかのように静かになった。 拍子抜けしたミサキは、自然と安堵の笑いがこみ上げてきた。 さぁ、外へ出ようと思った時、 「だって、アンタが一番に気づいたじゃない」 布団の隙間からヤツが覗いていた。
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