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ミノリは壁、床、天井、全てが毛足の長い真っ白の布で覆われた部屋で目を覚ました。
照明はないのに部屋は明るい。
恐らく真四角で、ワンルームマンションくらいの広さはある。
しかし、なにもない。
ベッドや机、冷蔵庫、食糧…出入口すらない。
ただ一つだけ、壁に穴があいている。
穴の周りは赤黒く汚れ、パリッと固まっているようにも見える。
その向こう側からは何かの動く気配と、濡れ雑巾を引きずるような音が聞こえてくるのだが、軽く覗いてみてもその音の主は見えない。。
ミノリは壁を叩き、向こう側にいるであろう者に助けを求めた。
音は柔らかい布に吸収されくぐもったもの。
しかし、しっかりとした堅さも感じられる為、何かが居るなら音は聞こえているだろうと思われる。
暫く叫んでいたが、彼方からの反応はなく無駄に体力を消費するだけに終わった。
ミノリは穴と対極にある壁に背をつき座り、驚く程に触り心地の良いその壁に眠気を誘われ…やがて眠った。
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