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腹を空かせて目を覚ます。
やはりそこはふわふわな四角の部屋で、食い物どころか水すらない。
雑巾を引きずる音は相変わらず聞こえてくるが、人の話し声などは一切聞こえてこない。
一体何が居るのだろうか。
ミノリは確かめる為、穴を覗き込む事にした。
先程よりもしっかりと頭を穴に近づけ、壁の向こう側の世界を見た。
見える範囲は限られている。
しかし向こう側にはなにやら通路らしきものもあり、視界の端を大きな物がぐにゅぐにゅと動いている。
ふと、その向こうに女性の手を見た。
ミノリは大声で呼び掛けるが、その手は反応する様子がない。
よくよく見れば、あちこちに人が居るようだ。
後頭部や投げ出し座る脚、穴から見えるぎりぎりの場所に見えるのだ。
ミノリはさらに大きな声で呼びかけ、此処から出してくれと懇願した。
入れられている以上、必ず出入口がある筈なのだ。
きっとこの部屋にノブがないだけで、外側には開ける手段がある筈。
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