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呼べど叫べど反応する者は居ず、次第にミノリは奴らが閉じこめたのだと思うようになった。
言葉遣いは荒くなり、こちらを振り返らぬ者達を激しく罵る。
忙しなく部屋を歩き回り、時折壁を力一杯蹴り飛ばしては、既に自分でもよくわからない言葉を叫んだ。
ミノリは完全に、興奮状態で混乱している。
やがて、穴の向こう側に変化が現れた。
穴の前で腕が揺れている。
こんなところに閉じこめ、さらにバカにするのか。
ミノリは揺れるその腕を睨み付け、静かに穴に近づく。
そして、穴に腕を通しがしっとそれを掴んだ。
掴んだ腕はぼとりと落ちる。
腕、のみだった。
驚き腕を引っ込めるが時既に遅し。
ミノリは腕をぐいっと、何か粘つくものに引っ張られた。
その力は恐ろしく強く、その上穴がぎゅっと締まり離さない。
ジタバタと暴れるも抜ける気配はなく、寧ろどんどん引っ張り込まれていく。
腕は次第に激痛を感じ始め、穴に引っかかる肩がぎちぎちと嫌な音を立てた。
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