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壁の四隅、角、壁面全体、全てを調べた。
もしや届かぬ天井に出口があるのか…。
しかしそれなら、次の獲物を捕らえる時に出口が出てくるだろう。
問題はそれまでに失血死する可能性もあるという事だ。
穴の対極に座り込み、変化を待つ。
何時間経ったのだろうか。
うとうとしかけていたミノリは、ぐにゃりと波立った部屋の動きに目を覚ました。
部屋全体が動いている。
立っていられない程に激しく動き、ミノリはただただ転がされるままに様子を窺った。
ぐにゅり
部屋が傾き、ミノリの体は穴へと転がされる。
部屋が自ら喰らおうと動き始めたのだ。
片腕しかないミノリは己の体重を支えきれず、ぶちぶちと床の毛を引きちぎり穴の前へと転がりついた。
ぐいっと背中を引っ張られる。
穴が背中に吸いつき、ミノリは身動きできなくなった。
何とか逃れようともがくも、穴の吸引力は恐ろしく強く、既に穴に入り込んだ服を何かが引っ張る。
ミノリは完全に捕らえられた。
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