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これは、私が体験した話。
その時、私は高校一年生になったばかりだった。
白鷺女学園高等学校、この辺りではお嬢様学校と呼ばれている私立校。
とはいえ、お嬢様学校だったのは二十年ばかり昔の話で、今では一般家庭でも入学できる普通レベルの高校である。
私は勉強が苦手で、この学校でも難しいかもしれないと言われたくらいだ。
だから、合格した時は母親と飛び上がらんばかりに喜んだ覚えがある。
しかし、本当は来ちゃいけない場所だったのかもしれない。
この学校には古くから怪談話がある。
ベートーベンの絵や走る銅像なんていうどこの学校にでもあるものではなく、この学校だけだろうと思われるもの。
『壁を這いずり回る音』
遅くまで学校に残っていると、壁の向こうから何かが這いずり回る音がする。
その壁の裏側は、外。
外壁を這い回り、移動するとついてくるのだという。
校舎から出てしまえば消えてしまうのだが、その際絶対振り返ってはならない、と。
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