狩猟部

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 日も落ち切り、一般家庭なら既に就寝時間の23時。  一部屋だけ電灯点る学校、三人の学生がいる。  三人はそれぞれバラバラの制服を着ており、一人でもこの学校の生徒がいるのかすらも疑わしい。 「次は負けねーかんな、みゆり」 「むーりむり、このアタシに勝とうなんて百万と一年早いわよ」  二人がトランプを広げゲームに興じる横で、大人しく参考書を開いていた男子学生が口を開いた。 「ゲームをするのは結構だが、もう少し静かにしてくれないかな」 「司は静かすぎ!んなトコまで来てお勉強とかマジありえねぇから」 「アサトはもうちょい、おべんきょした方が良いんじゃない~?」  諫めたもののまた口喧嘩を始めた二人に、司と呼ばれた男子学生は呆れ混じりのため息をついた。  三人は月に一度、新月の日にどこかの学校に集まる。  名前は知っているが学校や住所などはお互い知らない、趣味だけが繋がりの仲間だ。  彼等はこの集まりを「狩猟部」と呼んでいる。
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