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それからボクは、前日に必ず鏡に問うようになった。
とても小さなミスも、後々の出世や生活に響く可能性がある事を知り、もっと早くに鏡を見つけなかった事を悔やむ。
「明日は…っと、この服はダメか」
昼休みに、教授の昼食に裾が引っかかり味噌汁をこぼしてしまう。
ボクは別の服を用意し、明日のミスを回避する。
そして、やはり鏡で見たとおりの場所で教授が食事をしているのだ。
ボクは挨拶をして横を通り過ぎる。
勿論こぼして怒られるような事はない。
すぐ後ろにいた奴が服の裾をひっかけ、トレイごと教授の服へ定食をひっくり返し激怒させた。
本来なら、ボクがあの場所で教授に怒られていた筈なのだ。
それが今、別の奴が、さらに悪い状況で怒られている。
ボクは妙におかしくて、上手く行くのが楽しくて、鏡を手放す事ができなくなった。
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