序章

4/11
前へ
/69ページ
次へ
三年ぶりの街はどこか違ってみえた。 しかし家に近づくにつれその感覚は薄れていく。 やがて懐かしい店の看板がみえる。 『月見堂』 引き戸を開け奥へ進む。 愛しい彼女を捜し求める。 鼓動は次第に早くなり、早く会いたい、それだけが頭を支配する。 やがて彼は一番奥の人形の部屋に着く。 きっと彼女はこの部屋にいる。 この屋敷で一番長い時間を過ごした二人の部屋。 思えば彼女との思いでの殆どはこの部屋の中にあった。 高鳴る鼓動、はやる気持ちを抑えつつ、ガタのきた開けにくい扉を開ける。 そこには 彼女が 操り人形のように
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加